【実験レポートの公開は中止しました】

これまで後輩が参考とするに値する有益なものを書くよう努めて公開してきたつもりです。今まで全てのレポートはできるだけ、分かりやすく、出版しても恥ずかしくないものとなるように心がけて一生懸命に書きましたし(拙い物も多かったかも知れませんが)、自分で理解していない、自分の言葉ではないような事を決して一言も書いてはならないという姿勢で書いてきた自負があります。結果として多くの実験科目ではSの成績を頂けました。

一度自分の頭で消化した事を再び苦労して紡ぎ出した言葉を、ネットを通じて他の皆さんに見てもらいたい、そこから会ったこともない誰かに何かしらの示唆があり、その人の思考の発展に少しでも寄与ができたとすれば私は嬉しいし、他の学生だけでなく一般に社会にとって有益な内容であると考えていたからです。 今までそのような財産を後輩の誰かにはきっと残せたものと信じています。

学部卒業までの道のりは優秀とは言えない自分にとって本当に辛いものでしたが、誰かが私のレポートから理解を深めたり考察の仕方を学んでくれているかもしれないと思うことは私にとって心の糧でした。また自分よりずっと若い他の電子工学科(夜)の仲間たちが経済的困難を抱えてバイトなどに時間を取られながらも必死に勉強している姿を見て、強い尊敬の念を抱いていましたし、愛すべき同級生たちの役に立てる事が幸せでした。 

例え同じような実験をしても結果は必ず違うし、それぞれが本当に自分の言葉を紡いだならば、もし私のレポートを参考にしたとしても、その内容の発展に寄与しこそすれ、決して同じものになどならないはずだと考えました。 しかし、こういった私自身の思いをよそに、実際には見過ごせない害悪があったようです。
もし少なくない学生が私のレポートを密かに盗用し、自身が納得してもいないような文章を、考える代わりにただ写し、実験結果に深く悩む事もせずに楽をして単位を取って行ったとしたら大変に残念なことで、私にとっては著しく不本意なことです。広く公開した事は盗用すれば直ちに露見するという抑止策でもあったのですが、それでも少なからず害があったのかもしれません。それについては大変申し訳なく思っています。

2008年以来、長年公開を続けてきた過去レポですが、このたび実験の指導担当の先生から授業妨害になっているとの抗議と警告を受けました。その事情を考慮した結果、公開する事で学生たちの学問的・人間的成長に対する悪影響がある可能性を軽視するべきでないという判断に至ったため、中止を決断しました。

対馬 悠介 (2016/04/01)